この秋、iOSに本格的AR・AI時代が到来

先週のWWDC 17の基調講演は「6つのトピック」から構成されていました。こう書くと話題が少なそうですが、実はそれぞれに数十の新発表が潜んでいて、全体としては膨大な情報量で、興味のある話題が他の情報に埋もれて見逃していた人も多いことでしょう。この秋、iOS 11が無料アップデートとして登場します。iOS 11はiPhone以上にiPadを大きく進化させます。iPhoneの新たな活用として、今後一気に増えそうなのがAR(拡張現実)、つまり現実の世界にiPhoneおよびiPadの情報や仮想オブジェクトを重ね合わせて表示する技術です。Appleは開発者がこうしたアプリを開発しやすいように、机や床の表面やへりの自動認識などの基本機能をiOS 11に追加されたARkitという核テクノロジーとして用意します。WWDCで披露されたデモでは、iPhoneのカメラを机に向けると天板の面を認識して、その上にデジタル立体映像のランプやカップを置くことができる様子が示されました。カメラをかざす向きを変えると違う角度から見ることができるのです。これまでiPhoneで一世を風靡したセカイカメラやポケモンGOでは、iPhoneを左右に動かした際に、合成している風景と映像に微妙な位置のズレが起きて仮想現実の夢から覚めてしまうことが多かったのですが、実際に自分の手でiPadを持って眺めて見ると、合成映像が表示される位置はiPhoneを多少速く動かしてもズレなかったのです。まるで専用のVRゴーグルのように自然な動きです。驚くのは、この自然な動きをiPhoneやiPadのカメラと、そのCPU、GPUそしてジャイロスコープなどのモーションセンサーだけで実現していることです(つまり現行のiPhoneやiPadで利用できるのです)。特に上の動画の最後に紹介している「Wingnut AR」という開発中のゲームのリアルさはすごかった。テーブルの上にSF映画の戦場が再現されていて、爆発などが起きると人が机のへりから下へと落ちていくあたりには最新ARの可能性を感じました。

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